戸塚祥太の中の寝盗られ宗介

寝盗られ宗介を見てきました。予想以上に面白くて何度も見たくなるような作品でした。この寝盗られ宗介がなかなかのポスター・チラシ詐欺でして、あんなに艶やかなキャストはいない(笑)劇中でもネタにしており、藤原くんと姜さんの掛け合いで面白くつっこまれていました。


ポスター等のイメージとあらすじを少しだけの前知識で行き、戸塚くん演じる宗介は女房を寝盗られ可哀想だと思ってました。この勘違いが作品を楽しめた要因かもしれません。実際は可哀想な旦那ではなく、卑屈に振る舞うが歪んだ愛で相手を追い詰めるようなやばい旦那でした。女房は寝盗られていると皆に宗介は言うのですが、本当は間男を唆して女房を寝盗らし、間男が旦那に唆されたことを知りながらも関係を持つ女房に対してはネチネチと追い詰めていきます。見ているこっちは宗介の歪んだ愛が自分を追い詰めることになることは薄々とわかってきます。だけど、宗介はぎりぎりまで気付かない。駄目だよ戸塚くんもとい宗介!と言いたくなっちゃいます。少し早口で畳みかけるように喋る戸塚くんの姿は宗介のヤバさが出ていました。目に見える狂気じゃなくて、じわじわと侵食するようなヤバさ。そのヤバさと戸塚くんの美しさの対比がいいんですよね。第一幕では戸塚くんがさらし姿で結構な時間をいるのですが、身体ができているから見ていて飽きない。眼福とはこのことか。そして、前髪がはらりと落ちるのが恐ろしく色気があるんですよ。
あと、戸塚祥太が腰を振る(笑)福田沙紀ちゃんに腰を押し付けるような場面もあるし。そこまでやっていいのかジャニーズ。コメディっぽくしているからいいのかな。今の流行りのフレーズが出たりコメディっぽさが目立つ第一幕ですが、第二幕になると様子が違ってきます。宗介だけが変わらず卑屈に見せたりするが、レイ子や座員の様子がちょっとずつ変わってくるのが話に引き込まれます。しかし、ハッピーエンドで終わるのが見ていて気持ちが良かったです。


公演を重ねるたびに、戸塚くんの中の宗介が洗練されていくと思ったら、まだまだ見たいと思ってしまいます。パンフレットで戸塚くんが語っているように、「楽屋裏での一座のドタバタから一転して、劇中劇ではビシッと決めて…という理想にもまだ程遠いので、しっかり稽古を重ねて精一杯近づきたいです。そうしたらきっと、何かとてつもないものがほとばしる瞬間が訪れるのかな、と。」、近いうちにその瞬間が来る気がします。
戸塚くんの29歳の色気が見ることができ、錦織さんがパンフレットで語るような「つかさんの芝居って、ストーリーじゃなく、あのときのあの台詞がカッコいいとか、そういう”熱”を楽しむものだと思うから。」が表現された舞台でした。